ペットショップから購入したわんちゃんは病気を持っていた、というトラブルが後を絶たないそうです。
2016年5月26日付の朝日新聞朝刊にこんな記事が載っていました。
わんちゃん、ねこちゃんの飼われている数は減少し販売されている数も減っているのですが、国民生活センターに寄せられる相談件数はなかなか減らないそうです。
ペットショップチェーン店で購入したチワワの女の子
東京三鷹市に住む女性会社員が都内のペットショップチェーン店で購入したチワワの女の子。約30万円でした。
飼い始めて間もなく異常が見つかり動物病院で診察してもらったところ、「先天的な形成異常である頭部頸椎(けいつい)接合部奇形(CJA)です。水頭症なども併発していて、治療のすべがありません」と告げられたのです。
わんちゃんは2歳になった今でも、しかたなくケージの中で1日のほとんどを過ごし、薬による治療を続けています。
購入したお店に連絡した所、「わんちゃんを引き取って、返金します」といわれたがお断りし、わんちゃんの面倒を見ることを選びました。
女性は「病気のわんちゃんを繁殖させたり、販売したりする業者が許せません。わんちゃんの命を軽く見られているのが悔しく、悲しいです。」といいます。
ペットショップなどで購入した動物に関する相談が国民生活センターには前年度比5%増の1308件寄せられたそうです(16年5月15日集計)。ほとんどがペットの健康にまつわる内容だそうです。
こういったトラブルは訴訟に発展するケースもあるそうです。
埼玉県の男性は、大手ペットショップチェーンを相手に訴訟を起こしたそうです。
お店から購入したロシアンブルーの男の子に先天性の疾患があったため治療費や慰謝料に支払いを求めました。
購入時に動物病院の「異常なし」の診断書がついていたが、引き渡し当日に他の動物病院で診断してもらったところ、「漏斗胸」と診断され、胸が陥没していることが発覚しました。
ペットショップは「交換します」と対応したが、納得できなかったため会社経営者に連絡したところ役員からは「裁判してもいいです」といわれたそうです。
男性は「まるで物のように取り換えればいいと思っている。そういった姿勢を直してほしい」といっています。
大阪の男性は、近くのペットショップでパピヨンの女の子を購入しました。しかし、先天性の心臓病の「動脈管開存症」が見つかりました。

ペットショップ側は、「獣医師が健康との診断を下したので販売していた」と語ったといいます。
この獣医師が発行した診断書には先天性疾患の有無も含めすべてなしか正常との診断となっていました。
そこで男性はこの獣医師を相手に手術費用等として約50万円を求める裁判を起こしました。
しかし、一審では勝訴しましたが二審では敗訴となり最高裁では上告を棄却されてしまいました。
リスクの高い繁殖が原因
動物関係の法律に詳しい細川弁護士によると「生体販売の現場では獣医師のかかわり方が形式的なものになっています。消費者保護のためには獣医師にはより高い職業倫理が求められるべきです」
ペットショップなどで販売されているわんちゃんにこういったトラブルが多数発生するのはなぜでしょうか?
新庄動物病院の今本医院長は「見た目のかわいさだけで先天性疾患のリスクが高くなる繁殖が行われています。消費者は様々な疾患が見つけやすくなる生後3か月から半年くらいの子犬を購入することが自己防衛につながるでしょう」と話しています。
この記事は2016/5/26 朝日新聞朝刊の記事を参考に構成したものです。